
自社採用力を高めるためには「応募者視点」で考える。採用広報に効く現状分析の方法
「採用力を強化するために、情報発信に取り組みたい!」
このように考える企業は増えています。インターネットの普及にともない、就職・転職希望者が自ら会社の情報を検索し比較検討するのが当たり前になりました。そうなると、応募(見込み)者に対して必要な情報を発信できている企業とそうでない企業では、採用の成功/失敗に大きな差が出てくるからです。
では、どのような情報を、どのように発信すればいいのでしょうか?その第一歩としておすすめなのが、「自分が応募者になりきって情報収集をしてみる」こと。
今回は、その具体的なやり方や、収集した情報を自社の施策に生かしていくステップをご紹介します。
1. 応募者になりきって検索してみる
就職・転職を考えている人は、気になっている企業のことを色々と調べてみようと思うはずです。もし自分だったらどんなことを知りたいかを考え、応募者になりきって実際に検索しながら情報を集めてみましょう。
a. 検索エンジンで検索してみる
まずはGoogleなどの検索エンジンで検索をしてみます。社名で検索すれば自社Webサイトが出てくるはずです。
それに加えて「(社名) 社長の名前」「(社名) 評判」のように、社名と求職者が検索しそうなキーワードを組み合わせて検索してみましょう。

それぞれ適切な情報をすぐに見つけることができるでしょうか。なかなか見つからない場合はその時点で検索が中断されてしまい、応募者の意識が他社へ流れてしまう要因になります。
b. SNSで検索してみる
検索エンジンだけではなく、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSでも自社の情報を検索してみましょう。経営者や自社で活躍しているメンバーのアカウントへすぐに到達できればベターです。
Wantedly、LinkedInなどのビジネス特化SNSに、自社の情報が登録されているかもチェックします。

c. YouTubeで検索してみる
企業について調べるときに、YouTubeで動画を検索する応募者も増えています。
TVやWebメディアで使用されたインタビューや企業紹介動画など自社に関する動画コンテンツがあれば、閲覧できる状態になっているのが望ましいでしょう。

d.口コミサイト
企業について調べている求職者が必ず見るのが、転職会議やVorkersのような企業の口コミサイトです。「(社名) 評判」「(社名) 口コミ」のようなキーワードで検索してどのようなページが出てくるかに加えて、各口コミサイト内でも検索してみてください。
応募者は特に、ネガティブなコメントを気にしてしまうもの。そういったネガティブな内容への回答となるコンテンツを自社サイト内に掲載したり、経営者ブログで発信したりすることが重要です。
2. 見つけた情報を読み込んで課題を見つける
応募者の情報収集は検索をして終わりではありません。応募者になりきって検索結果の内容を読み、応募したくなるか試してみましょう。
a. 会社を判断するために必要な情報はあるか?
検索して情報が見つかったら、その内容を読み込んで精査しましょう。
応募者が企業を判断するために必要な情報はそろっているでしょうか。
会社の理念やビジョン、事業内容は当然のように載っているとしても、応募者として知りたい情報はそれだけではありませんよね。
「社内にはどんな人がいるんだろう?」
「残業はどれくらい?」
「企業のいいところはわかったから、課題を知りたい…」
求職者の中にあるいろいろな疑問を想像し、その答えや手がかりが得られるか探してみましょう。
判断材料となる情報にたどりつくことができなければ、それが発信すべき情報のタネになります。

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例:SNSで検索しても経営者や社員のアカウントが見つからない場合
ここで、不足している情報と追加すべきコンテンツの例を上げてみましょう。

追加すべき情報①:経営者や社員のSNSアカウント
SNSで検索したときに、経営者やそこで働く社員のアカウントにたどり着けないという課題がある場合、まず考えられるのが「そもそも該当するアカウントがない」可能性です。その場合、経営者や協力してくれる社員を募ってアカウントを作成し、コンテンツを追加していきましょう。
追加すべき情報②:経営者や社員のSNSアカウントにたどり着くための導線
すでに該当するようなアカウントがあるにも関わらず見つからない場合、必要なのは導線の改善です。まずはアカウント名やプロフィール文などに会社名を入れるなどして検索で見つかりやすくします。社員個人のアカウントについては強制してはいけませんが、個別に協力を頼んでみてもいいでしょう。
さらに、SNSだけでなく企業ページや会社ブログなどから経営者や社員のSNSアカウントへの導線を設置するというやり方も考えられます。例えばサイボウズ株式会社は社員のTwitterアカウントをまとめたnote記事を作っています。
【勝手にまとめてみた】採用担当が個人的にオススメする、サイボウズを知るならフォローしておきたいTwitterアカウント30選|綱嶋 航平|note
こういったコンテンツを作り、企業のホームページや採用サイトに掲載することで、SNSアカウントを見つけてもらいやすくなります。
b. 情報はわかりやすいか?
「必要な情報にはたどり着けた!」となったら、内容がわかりやすいかをチェックしましょう。
どんなに内容が良くても、レイアウトが見にくかったり、文字数が多すぎたりしたら、正直見る気が起こりませんよね。
ほかにも、「ページのタイトルと内容がずれている」「表面的な内容はわかるけどなんとなく足りない」「ぶっちゃけわかりにくくて読んでられない」など、情報の質もチェックしたいところ。
見せ方、内容の両面から、わかりやすいか、ちゃんと伝わるかを見てみてください。
c. 応募へつながる導線はあるか?
応募者が次の行動を起こすための導線がしっかり通っているかも意識しましょう。
募集要項ページへのリンクや、その中の応募ボタン、採用イベントの情報ならば参加申し込みフォームなど、次のステップに進むための導線はわかりやすく配置されているでしょうか?
PCだけでなく、スマートフォンからも支障なく遷移できるか確認しておきましょう。どちらか一方の導線がわかりづらくなっているケースはよく見受けられます。
応募者が通りうるさまざまな導線を洗い出し、スムーズに流れているか確認するのが大切です。
3. 追加する情報やチャネルの優先順位を決める
応募者になりきって実際に情報収集をしてみると、採用関連の情報で発信が足りていない部分が見えてくるはずです。それを元に現状を分析し、弱い部分を埋める対策を行いましょう。
a. 追加で発信が必要な情報や、アップデートすべき情報を整理する

情報が見つかりにくい箇所や見つかっても足りていない箇所があれば追加し、古いものは刷新。また、伝えたい情報、伝えるべき情報がうまく伝わっていない箇所があれば、追加したり伝え方を変えたりする必要があります。
一旦優先度や重要度は考えず、リストアップしてみてください。
b. 応募者の導線を整理し優先順位を決める
たくさん課題が見つかったとして、全ていっぺんに手を付けることは不可能です。応募状況や採用計画と組み合わせて優先順位をつけて実行していきましょう。
優先順位の決め方は色々とありますが、最初に「応募者がどのような経路ををたどり、どんな情報に触れて応募に至るか」のステップを可視化し、各施策のつながりがわかるように整理することをおすすめします。
まず以下の図のように「認知~応募」までのステップを考えます。その上で、「どこに情報を追加するのか」「どの情報はアップデートや改善が必要なのか」「導線がわかりにくいところはどこか」を書き込んでいきます。

こうすると、応募に至る全体のステップの中でどこが弱いのかが見えてくるので、優先的に対応すべき部分がわかります。
あとは使えるリソースに合わせて計画を立て、実行していくだけです。
採用広報の始まりは足りない部分を埋めるところから
採用広報というと、オウンドメディアや採用ブログなどのわかりやすい施策に目がいきがちです。しかし、これらの施策はたくさんのコンテンツと継続的な運用体制が必要となるため、時間と労力がかかります。大掛かりな施策に取り組む前に、まずは現状を分析して足りないところを埋める土台作りが大切です。
地道に弱点をしっかりと埋めてマイナスをなくした上で、現状分析結果も踏まえて「自社メディアを作るならばどのような情報を発信すべきか」「どのようなターゲットに向けて発信すべきか」「継続して情報発信する体制をどう作るか」を考えましょう。