
採用ブランディングと採用マーケティングの違い
採用ブランディングと採用マーケティングは、採用分野での2大流行語です。
問題なのは、企業の採用担当者や人材紹介会社が、2つの用語を混同したり、同じ意味で使っていたりする点です。
しかし、採用ブランディングと採用マーケティングには明確な違いがあります。
人事のプロとして2つの違いを理解することが不可欠です。なぜなら、違いを明確に理解しない限り、2つを一緒に効果的に活用して、優秀な人材を惹きつけることはできないからです。
※本記事は、Kristina Martic氏の記事(Employer Branding (EB) vs. Recruitment Marketing (RM): The difference)を編集部で翻訳・編集しています。
※本記事中のリンクは海外サイトに飛びます。ご了承ください。
採用ブランディングとは
「採用ブランディング」とは、会社の採用ブランドを作成し維持するプロセスのことです。
採用ブランドとは、つまり採用市場での会社の評判です。
採用ブランディングの目的は、優秀な人材を惹きつけるために、会社を望ましい雇用主として紹介することです。
採用ブランディングは、企業理念、経営ビジョン、会社の存在意義に基づいて構築されるべきです。
また、採用ブランディングに関する下記の、いわゆる「四大」質問に対して正確に、そして明確に答える必要があります。
- どのポジションに求人募集(現在と将来に)する必要がありますか。
- 理想の人材はどんな人ですか。
- 雇用主としての特別な魅力はなんですか。
- どうすれば理想的な人材があなたの会社で働きたいと考えるでしょうか。
要するに、採用ブランドとは、下記の従業員価値提案の5つの要素を反映しています。

強力な採用ブランドは、会社が優れた雇用主であり、働くには最適な場所であることを伝え、求職者が興味をもち、この会社の一員になろうと納得するような理由を提供してくれます。
採用ブランディングの重要性
優れた採用ブランディング戦略によって求人募集を容易することができると証明されています。
求職者を惹きつけるためには採用ブランディングが必要
募集中のポジションに、最高の人材が興味をもち、応募してもらうためには、採用ブランディングが必要です。
LinkedInの調査によると、求職者の75%が(ポジションへの)応募前にその会社の評判を調べます。そして、目にした内容が気に入らない限り、たとえ失業間近だったとしても、候補者の69%は応募しません。

採用ブランディングは時間と経費を節約し雇用の質を向上
採用ブランディングは、3つの最も重要な採用指標、つまり、採用までの時間、採用あたりの費用、雇用の質を改善することができるため非常に重要です。
LinkedInの調査によると、採用ブランドの強い企業では、求人に適した求職者が50%増加し、採用までの時間を2分の1に短縮し、1人当たりの採用費用を50%削減します。
採用マーケティングとは
「採用マーケティング」とは、マーケティング手法・戦術を使って採用ブランドを紹介することです。
つまり、採用マーケティングとは、ソーシャルメディア、会社の採用ページ、求人サイト、会社の採用ブログ、現職の従業員、職務内容、求職者のネットワーキングイベントなど、さまざまなチャネルを通じて採用ブランドを宣伝することです。
採用戦略の主な目的は、適切な求職者に適切なメッセージを適切なタイミングで提示し、求職者を惹きつけることです。
私たちは、この方法をインバウンド採用と呼んでいます。
それはなぜでしょうか。インバウンド採用とは、新しい求人募集を開始する際に適切な求職者をこちらから追いかけるのではなく、求職者が会社のへの関心を徐々に高めていくようにすることで、質の高い求職者を多数集めるものです。
最も生産的な採用マーケティング戦略のチェックリストをどうぞ(海外サイトに飛びます。)
採用マーケティングの重要性
採用マーケティングは、採用プロセスの中でも応募前の段階に焦点を当てています。才能ある人材を惹きつけ、優秀な求職者を求人募集中のポジションに応募させるのが狙いです。
求職者への焦点は、以前にも増して強くなっています。私たちは、できる限り求職者にすばらしい体験を提供すべきとよく話します。それは、優秀な人材は売り手市場で選り取り見取りに選べるからです。そのため、同じような人材を求めている企業に対抗できる競争優位性が必要です。
競合他社との差別化を図り、優れた人材を獲得するために、賢い採用担当者はマーケティング手法・戦術を使い始めています。
求人情報を求人サイトに投稿し、応募者が来るのを待っているだけでは、もはや不十分なのです。
人材獲得競争に勝つためには、長期的な考えを持って潜在的な求職者との関係を築き、彼らが自社への認知を高めてくれるよう積極的に取り組まなければなりません。
これまでに次のような質問に答えようとしたことがありますか。
- 理想とする求職者はどんなタイプのコンテンツが好きですか。
- 求職者は今すぐにでも応募する準備ができていますか、それとも、もっと興味を引きださせようとする必要がありますか。
- 求職者は、どんなSNSにアクセスしていますか。
- 私たちが取り組んでいるプロジェクト(仕事/事業)のうち求職者の興味を惹きつけるものはどれでしょうか。
- 求職者の理想の職業の職務内容はどのようなものですか。
- 求職者は無料の教育プログラムに興味がありますか。
- 求職者からの質問にすべて答えるために就職説明会を開催したら効果的でしょうか。
- 求人募集はGoogleで最適化され、検索可能ですか。
- 企業の口コミ投稿サイトの評価は最適化されていますか。
- 従業員は仕事とブランドプロモーションへのエンゲージメントは高いですか。
- 応募しやすい求人募集になっていますか。
- 既存の求職者と潜在的な求職者への連絡は、個人に応じて変更したり作り変えたりされ、興味をそそるものですか。
- 求職者と適時にコミュニケーションを取っていますか。
- 会社の採用情報ページは、求職者からのあらゆる質問に答える内容ですか。
- 求職者は、現従業員のキャリア成功事例に興味がありますか。
- 求職者は、従業員と経営陣どちらのインタビュー記事を好みますか。
- 動画のほうが、求職者のエンゲージメント率が高いですか。
- 求職者が現在の職場に抱えている不満を特定できていますか。また、その不満を満たす職場を提供できますか。
以上が、成功する採用マーケティング担当者であれば答えられるはずの質問です。
特に採用マーケティング初心者には、これらの質問に回答することを強くお勧めします。
採用ブランディングと採用マーケティングの違い
採用ブランディングは、会社の採用ブランドを定義するプロセスです。
採用マーケティングは、会社の採用ブランドを宣伝するプロセスです。
採用ブランディングは、以下の目的で活用されます。
採用マーケティングは、以下の目的で活用されます。
- 明確かつ求職者の興味を惹くような職務内容を記す
- 職務内容を求職者の興味を惹くような求人情報にする
- 求人情報を広告する
- 採用情報ページの作成と最適化をする
- 求職者の関心を惹くような求人募集コンテンツを作成する(インバウンド採用を使用)
- 会社の採用情報ページ、SNSなどで求人募集コンテンツを宣伝する
- ソーシャルリクルーティング戦略を定義して実行する
- Eメールキャンペーンを作成する
- 求職者の求職者体験を改善する
- 求職者の関与を促す
- 求職者との関係を構築し育成する(求職者関係管理(Candidate Relationship Management))
- 募集キャンペーンの全体的な成功を測定する(最も重要な雇用指標を追跡)
■ 元記事データ
タイトル:Employer Branding (EB) vs. Recruitment Marketing (RM): The difference
記事発行日:3/20/2018
URL:https://www.talentlyft.com/en/blog/article/118/employer-branding-eb-vs-recruitment-marketing-rm-the-difference
著者:Kristina Martic(Recruitment Marketing)