CO-NECTAR


 

「あなたの会社は友人に勧めたい会社ですか?」HARES 代表 西村創一朗氏に聞いた、採用PRの本質

採用競争の激化により、採用PRへの取り組みが重要視されています。
採用PRに取り組む企業が増えている一方で、「重要なのは分かっているけど、どう取り組んだらいいのか分からない」「自社なりに取り組んでみているものの、なかなか成果が出ない」と感じている採用担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、HRマーケター/複業研究家として活躍しているHARES代表取締役の西村創一朗氏に、採用PRの重要性と、取り組む上で重要なポイントなどを伺いました。

インタビュー/CO-NECTAR編集長 管大輔

【PROFILE】

株式会社HARES CEO 複業研究家 / HRマーケター
西村 創一朗(にしむら・そういちろう)

HRマーケター。1988年神奈川県生まれ。大学卒業後、2011年に新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・人事採用を歴任。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業し、2017年1月に独立。独立後はHRテクノロジーの専門家として、企業人事やHRテクノロジーツールを提供している大手企業やスタートアップを対象にコンサルティングを行う。HR Technology Conference2017@LasVegasに視察に行き、報告会を開催。2018年11月に中国の上海・深センにHRテクノロジーカンパニーへの視察を予定。講演・セミナー実績多数。2017年9月〜2018年3月「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経済産業省)委員を務めた。

なぜ、いま採用広報(採用PR)が重要なのか?

管:Googleやメルカリを筆頭に、採用広報に取り組む企業が増えていますが、改めてなぜ今「採用広報」が重要視されているのでしょうか?

西村氏(以下、敬称略):理由は非常にシンプルで、「採用広報」という採用手法が、従来の採用手法に比べて、中長期的に見れば圧倒的にコスパが良いからです。

採用広報は、基本的に自社メディアやSNSを利用するので低コストですし、入社した社員はその会社のカルチャーをよく理解した上で入社しているので、従来の採用手法(求人媒体や紹介会社)で入社した社員よりもマッチング度が高いことが分かっています。そのため、他の採用手法に比べて入社後の定着率、活躍率が高いです。

管:活躍率も良いことが分かっているんですか。パフォーマンスが高い採用手法に移行していくのは、当然の流れですね。

「採用広報」ではなく「採用PR」であるべき

西村:ただ、「採用広報」という言葉にすこし違和感があります。一般的に「広報」の定義は、「広く報せること」。そのため、みなさんバズらせようと企画や拡散を頑張ってきました。
しかし、採用の本来の目的は採用であって、広くたくさんの人に認知されることではありません。未来の仲間になるべき人に、熱狂的なファンになってもらうことがゴールのはずです。

管:バズったところで熱狂的なファンがつくわけではないので、それは目的から逸れていますね。

西村:PR(public relations)の意味とは、文字通り「関係性づくり」。つまり「ファンづくり」です。そこで、本来のPRの意味に原点回帰して、「採用広報」ではなく「採用PR」という言葉を使っています。
採用PRとは、単純に自社を広く知らせるのではなく、未来の仲間になるべき人に熱狂的なファンになってもらうための関係性づくりの手段であると考えています。

管:すごく納得しました。今後CO-NECTARとしても、「採用PR」という言葉で発信していきます。

前提として重要な「人が自然と集まってくる組織」

管:企業が採用PRに取り組む上で、抑えておくべきポイントを教えてください。

西村:「人を集めるための採用手法」として注目されていますが、採用PRに取り組む上で非常に大切なのは、「人が自然と集まってくる組織」という前提なんですよね。要するに、「友人に勧めたくなるような会社かどうか」ということです。

一番良くないのは社員がしらける採用PRです。いくら社外向けに「うちはこんなに魅力がいっぱいの会社なんだよ」と良いことばかりを謳っても、社内が「実態ともなってないじゃん」と感じてしまうような。

管:確かに、社外に対して良く見せることだけを目的に作られた共感できない採用PRだと、社員も情報を拡散しないでしょうし、採用に成功したとしても、求職者は入社後にPRと実態のギャップに不信感を抱いてしまいますよね。

そういった意味で、採用PRは組織の透明性が求められる施策なので、「良い人材を採用できる」だけではなく、「組織改善」というメリットもあるんじゃないかと考えていて。

西村:僕もそう思います。現在7社に採用PRの支援をさせてもらっているのですが、採用PRは採用戦略ではなく、経営戦略として当然取り組むべき事項だといつも伝えているんです。

採用PRとはストーリーテリング

管:西村さんの周りで、経営戦略としての採用PRに成功している企業ってありますか?

西村:柴田雄平さんが経営されている、「onakasuita(おなかすいた)」という飲食店経営の会社ですね。

彼は、2社を経営する経営者であり、2人のお子さんを育てるパパでもあるんですけど、飲食店の現場で働く人の課題の一つとして、「土日は忙しくて出勤しなといけないから、運動会などの子供のイベントに参加できない」という課題があったんですよね。

そこで、柴田さんは思い切って「土日祝日を休業日にする」と決めたんです。そうしたら、そのストーリーに共感したお客さんがお店に殺到した。働く人も、企業価値を十分に感じているので自社に対するロイヤリティが高く、「うちの会社、最高なんだよ!」と友人に勧めてくれます。結果、採用は100%リファラル採用だそうです。

管:それはすごいですね。

西村:なんで柴田さんの会社が集客にも採用にも成功したかというと、「ストーリー」があるからです。採用PRとは、要するにストーリーテリングなんです。

管:共感を生むストーリー(自社の魅力)があってこその採用PRなんですね。

西村:そうです。厳密にいうと、ストーリーのない会社なんてありません。100人社員がいたら、100通りのストーリーがあります。「うちはブラック企業だから採用PRに取り組んでも意味が無い」「うちはPRできるようなストーリーが無い」という採用担当者は、自社や社員に向き合いきれていないだけなので、向き合うところから始めると良いと思います。

採用PRは、ただ社員インタビュー記事を作ればいいわけじゃない

管:自社のストーリーを伝える代表的な手段の一つとして「社員インタビュー記事の制作」がありますよね。

西村:社員インタビューに取り組まれている企業は多いですよね。社員インタビュー記事は、「そのストーリーを通して読者(求職者)にどんな感情になってもらいたいか?」というゴール設定が重要だと思っています。

例えば、「活躍している社員を紹介するために、とりあえず社内MVPを獲得した社員をインタビューする」みたいな企画の仕方は微妙だなと思っていて。

「自社で働くことに対する憧れを生み出す」とか「自社への志望動機を高める」とか「自社のファンになってもらう」とかが採用における記事のゴールだとして、そのMVPを獲った話が果たしてゴールを達成するためのストーリーなのかというと、そうじゃないケースもあるわけです。

管:確かに、「ゴールから逆算して記事を企画する」という視点は大切ですね。

西村:ゴールから逆算して記事をつくれば、社員のストーリーはそのまま求職者の課題解決記事になります。

例えば、「ママになっても働き続けられる職場だろうか?」と不安に思っている女性の求職者に対して、結婚・出産・育児を経て職場復帰した女性の活躍をストーリーで伝えることができたら、「この会社ならママになっても自分らしく働き続けられそう!」という課題解決になりますよね。

これをとても上手に取り入れているのが、ナイルという会社で採用広報を担当されている五木田さんです。彼女はもともとマーケターなので採用の仕事は初めてなのですが、マーケティング思考を持っているので、彼女の書く記事は「うちのタレント社員見てください!」的な記事ではなく、きちんと求職者の課題解決をするような記事になっています。

参照記事:コンサル業務を月間300時間削減!推進していたのは入社まもないパパ社員だった

管:自社の素晴らしさを社員インタビューを通して顕在化させることはとても大切ですよね。求職者の課題解決にも、動機づけにも、ファンづくりにもなる。この特性を理解しているかどうかで取り組むのと、ただなんとなく取り組むのでは、コンテンツの内容にも雲泥の差が生まれそうです。

まとめ「採用PRの本質を理解する」

いかがでしたでしょうか。

採用PRという手法が注目され、ツールやサービスも充実しているからこそ、「本質的に何が重要なのか?」を理解できているかどうかが、成果に大きく影響します。

次回は、採用PRにどのように取り組んでいったらいいのか、その手法やKPIの設定について具体的に伺っていきます。

小野瀬 わかな
小野瀬 わかな Wakana Onose
CO-NECTAR編集部・ フリーライター

採用領域を中心に、企業の情報発信をサポートしているフリーのインタビューライター。

RELATED

関連記事
新着記事一覧

POPULAR

人気記事
人気記事一覧

RECOMMEND

おすすめ記事

REGISTER NOW

今すぐメールアドレス登録
人気記事やイベント情報等を配信しています
お問い合わせはこちら
トップへ