
いまさら聞けない!採用工数をかけなくても、応募者を呼べるWantedlyの募集の出し方!
コストパフォーマンスの良さから、多くの企業が利用しているWantedly。しかし、スタートアップ企業や、社員数が100名以下の組織の中にはWantedlyを運用する工数が割けない企業も多く、登録したものの未だ求人をアップしていない企業や、数年前にアップしたきり更新していない企業も多い。
そんな中、社員数100名以下、週3時間ほどの工数でWantedlyを運用し、月間120以上の応募を集める企業があります。海外向けの自社コンテンツ、広告配信サービスやインバウンド集客事業を行なっている株式会社LIFE PEPPERです。
今回は同社で執行役員を務め、採用業務を担う吉田典広さんを取材。採用工数を掛けられない少人数の組織でも、Wantedlyで候補者を集められる募集の書き方について紹介します。
プロフィール

吉田 典広(よしだ のりひろ)
株式会社LIFE PEPPER 執行役員
2015年3月に創業期であった株式会社LIFE PEPPERへボードメンバーとして入社、同年より執行役員。セールスの責任者を務めるほかインバウンド消費の分析及びクライアントのグローバル戦略立案を担当。
2018年よりHRの責任者を兼任。入社後のギャップを生まない採用に注力し、採用戦略から入社後のフォローアップ総括を担う。
徹底的に他社の募集を研究、自社の強みを言語化
Wantedlyの活用に本腰を入れるにあたり、吉田さんは徹底的に他社の募集を研究したのだそう。
「まず、Wantedlyの募集を人気順で見てみることにしました。すると上位に来るのは、やはりネームバリューが大きい会社。その一方で、中小企業でありながらも、上位に食い込んできている企業もいくつかあったのです。
そのような企業が、どのようにネームバリューのある企業と戦っているのかを確認してみたところ、打ち出すべき強みを明確にしているという共通点を見つけました。Wantedlyにおける小規模ベンチャー企業の生存戦略は、いかにエッジを利かせるかがキーだと気づかされたのです。

そこで『自社の特色 × 候補者が求めるもの』の重なるポイントを定めキーワード化。
LIFE PEPPERがたどり着いたキーワードは、“グローバル”と“(デジタル)マーケティング”。キーワードから派生する言葉を募集内容に散りばめることを意識しました」(吉田)
キーワードが不明確な状態で募集を始めても、「それっぽいけど、特筆すべきことのない、他社との差別化できない企業」になってしまうそう。
まずは、同職種や同業他社の募集を研究し、その中で自分たちの独自性を出せるキーワードを見つけてみましょう。
募集における最重要部分、タイトルを工夫する
吉田さんが他社を研究する中で、人気順の上位に表示されている企業は「タイトルで魅力を伝えられている」という共通点を見つけたそう。
LIFE PEPPERでもタイトルの付け方には一番気を配っているとのことでした。
「当然ですが、ユーザーはまず募集のタイトルとカバー写真だけでクリックするかを決めます。適当なタイトルでは、そもそも閲覧数を確保できません。タイトルは最重要項目なんです。
Wantedlyのタイトルは37文字以内と短いですが、弊社の場合は、自社の“キーワード”を入れ込むこと、どのような人を求めているかが分かるような記述にすることを意識しています。

弊社に入ったら、誰と何の業務をどうやって取り組むのかを想像しやすくすることで、『マーケティング職×グローバル』に興味がある層に効果的に刺さるのです」(吉田)
タイトルとセットで気を付けるカバー写真。重要なのは、一貫性を持たせること
「また、カバー写真も気を使うことが重要です。
弊社の場合、写真を選定する上で以下の3つを意識しました。
- とにかく高画質
- 複数名が自然に写っている
- 社内の雰囲気や特徴がわかる
写真を意識した結果、とある募集では応援が『2』のみにも関わらず、掲載2ヶ月弱で645PVと31件の応募(応募率:4.8%)を獲得。SNSシェアが少なくても、タイトルやカバー写真にこだわれば十分に応募を獲得できることを実証しました」(吉田)

吉田さん曰く、社風とメッセージの一貫性を持たせることが重要だとのこと。
「写真から伝わるメッセージも大事です。弊社のように“グローバル”がキーワードになっているなら、外国人のメンバーを交えた写真に例えばより説得力がでます。また、現状のメンバーが仲良しすぎるように見える写真では、『ここに入っていけるかな』との不安を与えかねません。
しかし、飲み会や社内イベントの写真を使う場合でも、“仲間とワイワイするのが好きな社交性ある人”を求めているのであれば使用すればいいと思います。一方、“寡黙だが粛々と仕事に向き合うタイプの人”がマッチする場合は少人数で落ち着いている写真がいいでしょう」(吉田)
LIFE PEPPERが募集記事の詳細項目を書くときに気を付けていること
Wantedlyでは、「こんなことやります」「なにをやっているのか」「なぜやるのか」「どうやっているのか」の4項目を募集に掲載できます。LIFE PEPPERでは、これらの項目を、どのように意識して書いているのでしょうか。
「なにをやっているのか」の書き方
「募集の詳細画面を開くとトップに表示されるのが、『なにをやっているのか』。他社と比べた時の強み、事業内容、将来の展望の3点を説明するようにしています。
意識していることは、応募を見た人に『この会社はほかとは違うな、面白そうなことをやっているな、自分が仕事で成し遂げたいことと方向性が一致しているな』と思ってもらい、魅力を感じてもらうこと。具体的に、次のような構成案で書くようにしています」(吉田)

▼構成案
- 自社のキャッチコピー(1行で)
- 沿革、差別化ポイント、強み(5行まで)
- 事業概要(箇条書き)
- 将来の展望(1〜3行)
※ 写真は社長、役員陣、メンバーの集合写真など、人がわかるものから2枚
「なぜやるのか」の書き方
「なぜやるのか」は、自社がどのように社会課題に取り組んでいるのか、いわゆる企業のミッションを意味付けする項目。吉田さんはどのようなことに気を付けているのでしょうか。
「自社の存在価値を伝えることが大切です。
長文は候補者さんが引いてしまうのでは?と思う人もいると思いますが、僕個人としては、その熱量が高く、暑苦しくても、思いっきり書くべきだと思っています。その暑苦しさに共感してくれるような応募者こそが、自社のカルチャーにフィットする可能性が高いからです」(吉田)

▼ 構成案
- 自社のミッション(解決する課題と手法)を1行で
- 解決する社会課題(〜3行)
- 解決する手法(〜3行)
- 目指す未来(〜10行程度)
※ 社内の雰囲気(中の人)が伝わる写真2枚
「どうやっているのか」の書き方
これまでのパートを受けて、具体的に「その事業や社会課題解決を自社が成し遂げられる理由」を説明することになるのが「どうやっているのか」の部分。
「どれだけ大きなビジョンを語っても、実現可能性が無ければ、見た人に『この会社大丈夫か?』と不安を与えてしまいます。そのため、自社の事業が成功する、成長する理由をしっかり伝えられるように心がけるのが重要です。
また、特徴的な組織文化があれば、それも交えることで、より魅力的な募集になります」(吉田)

▼ 構成案
- 組織の強みを1行で
- 会社の成り立ち(3行まで)
- メンバーの特徴や組織文化、風土、雰囲気(5行まで)
- 最も大切にしている行動指針など(1行で)
- 文化があるからこその成長など(3行まで)
「こんなことやります」の書き方
どんな業務をどんなポジションでやるのかを書く「こんなことやります」。
LIFE PEPPERでは、やることや求める条件を並べるだけでなく、詳細に書くことを意識しているそう。
「重要なのは、ただ羅列するのではなく、求職者に『この応募は私に向けて書かれている!』と意識してもらえるように伝えることです」(吉田)

▼ 構成案
- なんのためにどんなことをやるかの説明(3行以内)
- どんなことを期待するか(3行以内)
- どんな人に向いているか(3行以内)
- 具体的な業務(箇条書き)
- 必須スキル(必要であれば)
- 歓迎スキル・要件(必要であれば)
中小企業がカルチャーフィットする人をWantedlyを利用して集めるために
ここまでで、吉田さんがWantedlyで募集を出すときに気を付けていることを紹介しました。具体的なテクニックを教えていただきましたが、最も気を付けるべきことは3つだと言います。
- 感覚に頼らずベンチマークとなる他社と比較すること
- 相手にとっての読みやすさを意識すること
- 自分たちの強みを言語化しすべての要素に一貫性を持たせること
そして、こういったテクニックの根底にあるのが、相手(応募者)への誠実さです。緻密な戦略設計やタイトル、写真、募集文の一貫性などは、届けたい「想い」を誠実に伝えるためにあるのでしょう。
Wantedlyは、「価値観」で候補者を集める求人媒体。ユーザーも、「どんな雰囲気の会社なのか」「自分が入社したらカルチャーフィットできるか」を重視しているのではないでしょうか。
ただやみくもに運用するのではなく、しっかりと分析し、戦略的に設計することで工数を抑えながら結果を出すことができます。ぜひ、試してみてくださいね!