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ライティングスキルに左右されずに、採用PRコンテンツの質を上げる方法

前回は、株式会社キャスター取締役COO/株式会社働き方ファーム代表取締役の石倉 秀明氏と、inquire Inc CEO/NPO法人soar副代表/IDENTITY共同創業者のモリ ジュンヤ氏に、採用PRが上手な企業の共通点について伺いました。

最終回である今回は、採用PRのコンテンツ制作をする上で重要なライティングスキルの上達する方法や、ライター・編集者の採用や育成について伺いました。

インタビュー /CO-NECTAR編集長 管 大輔

文章を書けない原因は、「文章を書く力が無いから」ではない

—— 人事が採用PRのコンテンツ制作を担当するケースは多いと思いますが、ライティングが上達するコツはありますか?

石倉氏(以下、石倉):僕は仕事柄、よく学生から「エントリーシートが書けなくて困っています」と相談を受けるのですが、文章を書けない原因は「文章を書く力が無いから」ではないんですよね。
文章を書くことが苦手だと思っている人の多くは、文章を書く力ではなく、「この文章で何を伝えたいのか」がクリアじゃない。

モリ氏(以下、敬称略):しっかり目的を整理していない人や、どう伝えるかを整理するためのアウトラインを作らない人は多いですよね。いきなり書きはじめてしまうと、思いつくままに書き進めた結果、最終的に何が言いたいのか分からない文章になってしまいます。

ポイントは、「誰に・何を伝えて・どうなってもらったら成功なのか・そのために必要な素材は何なのか」という前段の整理プロセスを正しく細分化することができれば、ライティングのクオリティは一定以上にすることができます。

コンテンツ作りを兼務している忙しい採用担当者にオススメの「ペアライティング」

—— モリさんの会社は、編集のインハウス化をする支援もされていますよね。具体的にどのように支援されているんですか?

モリ:オペレーションの整理をした上で、クオリティを左右する要点を抑えるようにしています

具体的には、先程言った前段の整理、企画のファシリテーション、アウトラインの作成、記事の作成、原稿のチェック。これらの段階でチェックをしてフィードバックすることによって、コンテンツのクオリティは一定以上になります。

文章を書くことを難しく感じている人は、制作フローの見通しが立たないから難しく感じてしまうんですよね。制作フローを細かく切ることで、取り組みやすくなると思います。

それでもライティングが進まない人は、社内で誰かと一緒に、30分ペアライティングをしてみるのもオススメです。社内で記事を作ろうとすると、兼務になって優先順位が下がってしまうので、強制的に30分誰かと一緒にライティングする時間をとってしまうんです。自分一人だとついつい後回しにしがちですが、誰かと一緒に取り組む時間を確保したら、その時間はその業務の優先順位が一番上になりますよね。

「ここはどうやって書いたらいいだろう」と悩んでしまって、文章を書く手が止まってしまうことも多いんです。そういうときは、誰かと話すことによって道筋が見えてくることも多いので、そういう狙いもあってペアライティングはよく取り組んでいます

石倉:取り組むための時間を確保してしまうのは、ライティングに限らず仕事を進める上で効果的な方法ですよね。

コンテンツづくりのプロの力を借りるのも有効な方法のひとつ

—— 採用PRにおいては、ライターや編集者ではなく、採用担当者がコンテンツ作りを兼務している企業も多いですよね。

石倉:人事は社会人生活に置いて、「この文章で言いたいことが伝わるのか?」「もっといい言葉や表現の方法があるんじゃないか?」「誰に何を伝えたくてこの表現なんだっけ?」など、ライティングに関するフィードバックをきちんともらったことがある人は少ないんじゃないかと思うんですよね。

僕自身、意識するようになったのは前職であるリブセンスで、代表の村上さんから文章に対する当たり前の基準を引き上げていただいたから。でも会社として徹底しているケースは稀で、言葉や表現に対してこだわり持って取り組む機会が少ないのは事実としてあると思います。

モリ:そうですね。自社で制作したコンテンツへのフィードバックを外部のプロフェッショナルにもらうとか、そもそも制作からお願いするとか、コンテンツづくりにおけるプロに力を借りるのはクオリティを担保するため、時間効率を上げるために、非常に有効な方法だと思います。

ライターのスキルに依存されない、再現性のあるコンテンツクオリティの出し方

石倉:キャスターでは採用広報のメニューも提供していますが、ライターや編集者のコンテンツクオリティにもっと再現性を持たせていきたいと考えている企業は多いと思います。

モリ:ライターさん達に書いていただく記事のクオリティを一定以上に担保する方法は、求められるコンテンツのレベルを把握した上で、コンテンツの生産ラインの中でクオリティに影響する部分を把握し、仕組みや動き方を考えることが大切だと思います。

石倉:生産ラインの仕組みで解決できるんですね。

モリ:属人性の高い部分とそうでない部分の把握ができるだけでも違います。例えば、企画の考え方であれば、誰向けに何を伝える企画なのかなどを、企画書のフォーマットを作り埋めながら考えてもらうことで精度を上げるとか。原稿のチェックをする上で、見るべきポイントをまとめたチェックシートをつくるとか。属人性を下げられる部分については、フォーマット化によって再現性を高められると考えています。できるだけ全体像を把握してワークフローの整理、各フローの中でフォーマット化をすることで、ある程度再現性が出しやすくなるかなと思います。

ライター・編集者の採用と育成はどう取り組む?

—— ライターや編集者を自社で採用したい場合についてはいかがでしょう?

モリ:そもそも、「ライティング・編集」という仕事のブラックボックス化が激しいので、もっと言語化・構造化していけたらいいですよね。

デザインは、もともとあったプロダクトやグラフィックのデザインに加えて、「Web、UI、UX、サービスデザイン」など、多様な仕事があることが共有されるようになってきました。編集も「書籍、漫画、雑誌、Web」とジャンルの違いがあり、新興のWebの編集の中でも「企画・取材・コンテンツ制作」など工程が分かれています。同様に、ライティングもジャンルが分かれています

育成に力を入れていくためには、「ライティング」「編集」といった職能をもっと因数分解していくことで、採用や育成に再現性を出していくことが可能になるのではないかと。

石倉:確かに「編集者の仕事とは?」と聞かれたら、人によって答えが違いますよね。ライターや編集者って、分業体制をつくってこなかった職種だと思っていて。例えば、インタビュー記事を制作する時は、取材とライティングを分けてもいいわけですよね。

モリ:そうですね。概念として整理はしつつ、「自社の編集の定義はこうです」「このスキルがあると、うちの編集として活躍できます」と示していく。そうすることで、お互いにマッチング度を判断しやすくなりますよね。

例えば、僕たちはリサーチの案件をお手伝いすることもあるので、フィールドワークできる人はうちと相性がいいけど、他社の編集はフィールドワークのスキルは求められない可能性もある。

—— 職業の因数分解をしながら、要件定義をしていくと採用がスムーズになりそうですね。育成や定着率についてはどうですか?

モリ:編集者やライターに関しては、そもそも事業会社内にポジションがなかった職業ではあります。メディア運営会社や編集プロダクションにおいても、在籍し続けることのインセンティブづくりがあまりされていない印象です。個人で完結しやすい仕事という認識もありますし、組織内でキャリアアップする道が用意されているわけでもない。
それゆえ、「フリーランスの方がやりやすい仕事」だと思われている印象があります。一定のスキルを身に着けたり、個人で仕事を受けたほうが稼げるとなると独立する道を選ぶ人も多い。

石倉:モリさんはどのようにインセンティブ設計されているんですか?

モリ:inquireの場合だと、前提としてフリーランスでありながら所属できるので、個人の仕事をしながら会社の仕事もできます。なので、個人では受けられないような規模の案件なども経験できます。また、フリーランスだと基本的に相談が来る仕事は「自分のできること」が中心です。
ただ、そうなると成長できなくなってしまう。inquireに所属しながら仕事をすると、チャレンジングな案件にも取り組めるので、継続して成長したい人は利点を感じてくれていると思います。

石倉:「フリーランスとしても働いていけるけど、それでもこの組織に所属していたい」と思ってもらえる価値提供を企業がどうやって出してしていくかが重要ですね。

まとめ

今回は、採用PRに取り組む上でコンテンツ制作の肝となる「ライティング」について伺いましたが、いかがでしたでしょうか。

ライティングを上達させるためには、「前段の整理」と「正しいプロセスの細分化」が重要なようです。クオリティ担保のために、プロの力を借りるのも一つの方法です。

また、ライターや編集者を採用する場合は、仕事内容の認識が人によってバラバラなので、自社におけるライティングや編集方針の定義を示すことがマッチング度の高い採用を実現させるために重要です。

そして優秀なライター・編集者と仕事をし続けるためにも、自社に所属してもらうことに、どんな価値提供が出せるのか、インセンティブ設計をしっかりしましょう。

小野瀬 わかな
小野瀬 わかな Wakana Onose
CO-NECTAR編集部・ フリーライター

採用領域を中心に、企業の情報発信をサポートしているフリーのインタビューライター。

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