
採用ブランディングの目的とメリットを理解し、使いこなせる人事に!
少子高齢化で売り手市場が続く日本では、「採用ブランディング」ができているかどうかが人材獲得、ひいては企業発展の明暗を分けるといっても過言ではありません。とはいえ、「採用ブランディング」という言葉は知っていても目的を説明できない、あるいは実践できていないという人事担当者も多いはず。
そんな人たちのために、採用ブランディングの目的・メリット・方法についてまとめてご紹介します。認知されていない企業ほど、採用ブランディングが重要になる理由もわかりますのでぜひ参考にしてみてください。
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、採用において自社を「ブランド化」する手法のこと。数多くいる求職者に対して自社に「入社したい」と思ってもらうために、企業の理念やビジョン、社風や入社するメリットなどを発信し、「あの企業は◯◯な魅力がある」というブランドを築いていく活動のことです。
そもそもブランディングとは?
もともと「ブランディング」は、マーケティング用語の一つとして扱われることが多いです。採用ブランディングを理解するために、ブランディングの定義も理解しておきましょう。 以下に2つの「ブランディング」の定義を引用します。
意図したブランド・イメージを消費者・顧客が抱くように、戦略的にアプローチしていくこと、またはそれらのアプローチを設計すること。 引用:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会
ブランディング(英: branding)とは、ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略の1つ。ブランドとして認知されていないものをブランドに育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し、活性・維持管理していくこと。また、その手法。 引用:Wikipedia
ブランドというと高級なバッグや時計、洋服を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし高級感云々ではなく、企業側が意図したブランドイメージ(高級、いつでも安い、安心安全など)を認知・定着させていく活動をブランディングというのです。
採用ブランディングの対象は「企業」
マーケティングの手法としてブランディングを取り入れる場合、ブランディングの対象は商品やサービスですが、採用ブランディングの対象は「自社そのもの」です。
同じ意味を持つもので、コーポレートブランディングがあります。コーポレートブランディングは会社全体のPRやブランディングを意味します。会社のイメージを向上させる目的で行うブランディングであり、顧客や自社の従業員、採用にも効果があります。
その中で「採用目的」に特化したブランディングを「採用ブランディング」と呼びます。
採用ブランディングの目的
採用ブランディングの目的は、「自社が求める人材を獲得すること」です。魅力的なブランドイメージが確立されることで、莫大な採用コストをかけなくても自社とのマッチ度が高い魅力的な人材が自然に集まってくる状態を実現できるでしょう。 しかし、ブランドの認知はじわじわと広がっていくものなので、短期的に目的を達成しようと思いすぎてはいけません。短期間で採用ができる従来の手法も組み合わせながら、長期的な視点でブランディング施策を実行していきましょう。
採用ブランディングを実践するメリット
企業が採用ブランディングを実践するメリットは、大きく分けて5つあります。
- マッチ度が高い候補者を集められる
- 採用コストを抑えられる
- 競合企業との獲得競争に巻き込まれにくい
- 応募者数の増加
- 社員のモチベーションアップ
それぞれのメリットについてご紹介していきます。
1.マッチ度が高い候補者を集められる
採用ブランディングが成功すれば、求める人物像を理解した上で求職者が応募してくる状態を作れます。そのため、マッチ度が高く離職率の低下も望めるでしょう。
2.採用コストを抑えられる
採用ブランディングがうまく機能すると、求人広告や人材紹介を使わなくてもマッチ度が高い人材を採用できる状態になります。これまでにかかっていたコストを使わずに採用が可能になるため、結果的にコスト削減を実現できるのです。
3.競合企業との獲得競争に巻き込まれにくい
採用ブランディングによって事業上の競合や採用競合との違いが明確になるため、人材獲得の競争に巻き込まれにくくなります。多くの企業と比較して選ばれるのではなく、唯一無二の存在になれるのが採用ブランディングなのです。
4.応募者数の増加
多くの場合、採用ブランディングに取り組むことで企業の認知度自体が向上します。さらにブランドイメージや発信内容が魅力的であればあるほど「ここで働きたい」と思う人も増えるため、応募者数の増加が見込めます。
5.社員のモチベーションアップ
採用ブランディングによって「魅力的な企業」と認識されることは、中で働いている社員によってもうれしいことです。社外に向けた発信が社内にも効果をもたらす例は多く、「帰属意識が芽生える」「モチベーションが上がる」などのメリットを期待できるでしょう。
採用ブランディングの方法
たくさんのメリットが見込める採用ブランディングですが、実際どのようにやっていけばいいのか、シンプルな方法をご紹介します。まずは覚えて実践できる状態まで持っていきましょう。
採用ブランディングは「誰に」「何を」「どうやって」伝えるかだけ
採用ブランディングと聞くと難しく考えてしまう人も多いでしょうが、実際は「誰に」「何を」「どうやって」伝えるかを決めて運用するだけです。
- 誰に=求める人物像
- 何を=持ってもらいたいブランドイメージを作るメッセージ
- どうやって=SNSや採用ホームページ、会社説明会など接点を持つチャネルなど
ブランディングに重要なのは「一貫性」です。一貫した体験を継続的に提供することで、ブランドイメージが醸成されていきます。ターゲットとメッセージがちぐはぐになったり、接点ごとに違うイメージを持たれるような対応をしてしまったりするのはNG。 ブランドイメージを確立するためには、ブレない軸を持ちましょう。
誰に:ターゲットの設定
採用活動をしていると、「応募数が多くないとダメ」という固定観念が頭に刷り込まれていることも多いです。しかしながら、ターゲットはあくまで「求める人物像」ですから、広くではなく、狭く深く絞り込むことが大切です。 「どんな人を採用したいのか」を明確化することで、以降のメッセージや届け方の戦略が変わるので、採用戦略を再確認し、企業として求めるターゲットを決めましょう。ペルソナ設定も効果的です。 関連記事:【事例付き】採用活動に役立つ「ペルソナ」とは?設定方法やメリットを紹介 – CO-NECTAR
何を:ターゲットに伝わるメッセージの考案
求める人物像であるターゲットに「こう思ってもらいたい」というイメージを考えます。例えば「社会貢献性の高い事業をしている」「社員にとっての働きやすさを大切にしている」などです。 イメージが定まったら、以下の2点を考えてみてください。
- ブランドイメージをより伝わりやすくするには企業の魅力の中のどの部分を切り取ればいいのか
- ターゲットに魅力を理解してもらうために、どんな切り口がいいのか
企業として伝えたいことを考えていると、「ターゲットから見て魅力的か」という観点を忘れてしまいがち。魅力的な切り口になっているかは常に意識しましょう。
どうやって:ターゲットに情報を届ける方法
ターゲットとメッセージ内容が決まったらどのように発信にするか、発信チャネルとコンテンツ形態を考えていきましょう。以下で具体例をご紹介します。
<発信チャネルの具体例>
- 自社ブログ
- イベント
- 会社説明会
- SNS
<コンテンツ形態の具体例>
- テキスト
- 動画
- 漫画
- インフォグラフィック
どのようなチャネルと形態で伝えるのがもっとも内容が伝わりやすくなるのかを考えて戦術を決定していきます。
まとめ
採用ブランディングのやり方や目的・メリットをご紹介しました。 今後人口減で採用が難しくなっていく時代の中で、採用ブランディングは優秀な人材を獲得するために欠かせません。
関連記事:「採用PRをやらない?!それってもう、採用する気ないよね?」── 働き方ファーム代表石倉秀明が語る、採用PRの重要性 – CO-NECTAR |
長期的な取り組みとして今からスタートすれば、10年後大きな成果があなたの会社で花開いているはずです。自社の求める人物像、そして求める人物像に何を伝えたいのか、一つひとつを明確にしてあなたの会社の発展に役立ててみてください。